2021/03/24公開 CPUの性能を確認するとき「世代」や「Core-i7」「Ryzen7」と言った種類などを確認します。とは言ってもCPUの仕様を見ただけでは性能を確認することは難しいと思います。
なぜならば、最大クロック周波数が約5GHzが上限となりマルチコア化が進んだ現状では単純に仕様からCPUがもっている性能を類推することが困難だからです。
ではどのようにCPUの性能を確認すれば良いのでしょうか。
ここではIntelのCPUを基に、技術仕様の確認方法について紹介します。※AMDのCPUはパソコンの知識 CPUの仕様から性能を確認する方法(AMD編)(内部リンク)で紹介しています。
CPUの仕様はIntel.comに記載がある
出典:Intel.com Corei7-10700Kの技術仕様
Intel.com(Intelのホームページ)にアクセスすると「人気のリソース」の下に「プロセッサーを比較する」と表示されているボタンがあります。ボタンをクリックすると「インテルCoreプロセッサー・ファミリー」に飛びます。
「インテルCoreプロセッサー・ファミリー」には「Corei9」「Corei7」などが表示されています。「Corei7」をクリックした場合は「Corei7-11375H」「Corei7-1180G7」などの製品名が表示されるのでCPUの仕様を確認したい製品をクリックします。
Intel.comではCPUの仕様が確認できる「技術仕様」の他に、「ドライバー・ダウンロード」「開発者向けリソース」「サポート」があります。
Intel CPUの仕様はこの「Intel.com」で確認することができます。
技術仕様(CPUの仕様)の確認方法
出典:Intel.com Corei7-10700Kの技術仕様の一部
CPUの仕様を確認するときには「技術仕様」を見ます。
CPUの「世代」などにより記載事項には一部違いがありますが、「技術仕様」を見ることでCPUのおおよその性能を確認することができます。
記載内容 | 記載内容の意味 |
---|---|
基本仕様 | 開発コード、プロセスルールなど |
パフォーマンス(CPUの仕様) | CPUに関する詳細な仕様 |
補足事項 | 補足事項 |
メモリーの仕様 | メモリに関する仕様 |
プロセッサー・グラフィックス | 内蔵GPUの仕様 |
拡張オプション | 拡張に関する仕様 |
パッケージの仕様 | 対応ソケットなどのCPUに関する仕様 |
高度なテクノロジー | HTTなどのテクノロジーに関する仕様 |
セキュリティーと信頼性 | セキュリティに関する仕様 |
CPUの性能をざっくりと確認する場合には「基本仕様」と「パフォーマンス(CPUの仕様)」で、自作を行う場合などでは他の記載内容にも目を通す必要があります。
基本仕様
基本仕様には世代が確認できる「製品コレクション」や、プロセスルールが確認できる「リングラフィー」などが記載されています。
記載項目 | 記載内容 | 記載の意味 |
---|---|---|
製品コレクション | 第10世代インテルCorei7プロセッサー・ファミリー | どの世代の製品群かを表します |
開発コード名 | Comet Lake | 同じ開発コードの製品は同じ設計思想を持つことを表します |
システムの種類 | Desktop | デスクトップ向けであることを表します |
プロセッサー・ナンバー | i7-10700K | 製品の固有名称 |
ステータス | Launched ※販売中 | 販売しているかどうか |
発売日 | Q2'20 ※2020/2 | 発売日 |
リングラフィー | 14nm | プロセスルール |
使用条件 | PC/Client/Tablet | 使用条件を表します ※パソコン、タブレットとクライアント |
希望カスタマー価格 | $374.00 - $387.00 | 希望小売価格 |
※Intel.com Corei7-10700Kの技術仕様を基に作成
基本仕様で確認したいのは世代です。
「製品コレクション」はどの世代の製品群であるかが分かります。世代を確認する理由にはCPUが新しい世代であるかどうかが分かることが大きいです。なぜならば、一般的に世代が新しい方がCPUの性能が上であるからです。
一般的にIntelでもAMDでも世代の新しいCPUの方が性能が上がっています。もちろん同じ世代のCPUでも「i7」「i5」や「Ryzen7」「Ryzen5」などのモデルの違いなどによって性能は異なりますが、Intelを例にすると第10世代の「Corei7-10700K」と第9世代の「Corei7-9700K」を比べると性能は新しい世代である第10世代の「Corei7-10700K」が性能では上になります。
このようにCPUの世代を確認したいときには「製品コレクション」を見るか、「プロセッサー・ナンバー」の「-」右の1文字もしくは2文字を見ます。
たとえばCorei7-10700Kの場合、「プロセッサー・ナンバー」は「i7-10700K」です。このナンバーもしくは製品名の「-」右の2文字「10」が世代を表しています。第9世代のCorei7-9700K場合は「-」右の1文字「9」なので第9世代と言うことになります。
パフォーマンス(CPUの仕様)
パフォーマンス(CPUの仕様)にはCPUの性能を確認するための具体的な数値が記載されています。
記載項目 | 記載内容 | 記載の意味 |
---|---|---|
コアの数 | 8 | 物理コア数 |
スレッド数 | 16 | 論理コア数 |
プロセッサーベース動作周波数 | 3.80GHz | ベースとなる動作周波数 |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.10GHz | 最大周波数 |
キャッシュ | 16MB Intel Smart Cache | CPUが使用する高速メモリ領域 |
バススピード | 8GT/s | データ転送速度 ※Transfer/sec |
インテル ターボ・ブースト・マックス・テクノロジー3.0の動作周波数 | 5.10GHz | 最大周波数 |
インテル ターボ・ブースト・テクノロジー2.0の動作周波数 | 5.00GHz | 最大周波数 |
TDP | 125W | 熱設計電力 ※ベース動作周波数で動作しているときの消費する平均電力 |
コンフィグラブルTDP-down周波数 | 3.50GHz | コンフィグラブルTDP-down時の動作周波数 ※熱暴走の回避 |
コンフィグラブルTDP-down | 95W | コンフィグラブルTDP-down時の消費する平均電力 |
※Intel.com Corei7-10700Kの技術仕様を基に作成
パフォーマンス(CPUの仕様)で確認したいのは「コア数」「スレッド数」「TDP」です。
「コア数」は物理コア数とも呼ばれていて、CPUにいくつコアが入っているかを表します。「Corei7-10700K」の場合はコア数が「8」と記載されているため8個のコアが入っていることになります。
今では当たり前になった複数のコアを搭載するマルチコア(多コア)ですが、以前はコア数が1つのシングルコアでした。時代とともにCPUに求められる性能も上がっているためシングルコアでは処理が難しくなっています。そこでコアを複数搭載して同時に処理を行うことでCPUの性能向上が図られました。
さらに「スレッド数」を増やすことによりコアに余裕があればスレッド単位で処理が可能になるため、「Corei7-10700K」の場合はスレッド数の「16」が最大で同時に処理することができる演算ユニットとなります。
動画編集などのCPU負荷の高い使用目的では、今ではコア数が10以上必要とも言われています。
わたしが使用するパソコンのCPUはCorei7-4700K(4コア、8スレッド)ですが、動画編集ソフトを使用しているときはCPU使用率が100%になります。単純に各コアの性能が足りないことも原因ですが、「コア数」「スレッド数」が決して多くないことも影響しているはずです。
CPUにどの程度の「コア数」「スレッド数」が必要かは使用目的によりますが、現状では4コア8スレッド(4C/8T)が最低ラインで、6コア12スレッド以上をおすすめします。
「TDP」は熱設計電力のことですが、Intelではベース動作周波数で動作しているときの消費する平均電力のことです。「TDP」の値が大きい場合は消費する電力が多いとともに発熱が大きいことを表します。
デスクトップパソコンの場合にはCPUクーラー(CPUを冷却する装置)にTDPの値に対応するものを取り付けることが必要になりますが、ノートパソコンの場合には既製品として購入するためCPUクーラーを変更することができず、TDPの値が大きいときには冷却を意識しないとパソコンが長持ちしないことになります。
既製品(メーカーが製造販売しているパソコン)はTDPを考慮して製品化されていますが、冷却性能が必ずしも充分でない場合もあります。特にTDPの値が大きいCPUを搭載する場合には冷却に余裕がある製品を選ぶことをおすすめします。
冷却が充分でない場合にはCPUそのものに負荷がかかるとともに、CPUの熱がパソコンケース内で他のパーツにも伝わってしまうためパソコン全体の耐久を下げてしまうことにつながります。
デスクトップパソコンの場合には冷却ファンを増やすか冷却ファンの口径を大きいものに変更するなどの対応ができ、ノートパソコンの場合には冷却台の購入も検討すると良いと思います。
「コンフィグラブルTDP-down周波数」は熱暴走を回避するための言わば安全対策です。「Corei7-10700K」の場合、CPUの冷却が充分な場合はターボ・ブースト利用時の最大周波数である「5.10GHz」が最大周波数となります。しかし冷却が充分でない場合には「コンフィグラブルTDP-down周波数」の「3.50GHz」までクロックが下がってしまいます。
3Dゲームや動画編集などCPUの負荷が高いソフト(アプリ)を利用する場合には「コンフィグラブルTDP-down周波数」が適用されないようにした方が性能が安定することになります。いずれもCPUの冷却がカギを握っています。
単純に「キャッシュ」は容量が多い方が良く、「バススピード」は速い方が良いと言うことになります。
重要な指標ではありますがCPUのグレードによりメーカーの方で調整されているものであるため、個人的には細かく確認する際に見る項目ではあるものの、実際のCPU性能を確認するときにはベンチマークのスコアを見た方が良いと考えます。
シングルコアの時代のCPU選びではクロック周波数、キャッシュ、バススピードなどを見て性能を確認していたためその名残があるように思います。
現状ではマルチコア化でクロック周波数も上限(5GHz程度)に達しているため、単純にCPUの仕様を確認するだけでは比較が難しいように思います。
使用目的に合ったCPUを選ぶ際にはベンチマークのスコアを確認して必要な性能があるかを見て、その後に個々の仕様について使用目的に適しているかなどを確認することをおすすめします。
メモリー仕様
メモリー仕様にはメモリに関する仕様が記載されています。
記載項目 | 記載内容 | 記載の意味 |
---|---|---|
最大メモリーサイズ | 128GB | 搭載できる最大メモリ容量 |
メモリーの種類 | DDR4-2933 | 対応しているメモリ規格と速度 |
最大メモリーチャネル数 | 2 | マルチチャネルに対応しているかどうか |
最大メモリー帯域幅 | 45.8 GB/s | メモリの最大転送速度を表す |
ECCメモリー対応 | いいえ | ECCメモリに対応しているかどうか |
※Intel.com Corei7-10700Kの技術仕様を基に作成
メモリー仕様で確認したいのは「メモリーの種類」です。
「メモリーの種類」にはメモリの規格と対応する最大の動作速度が確認できます。「Corei7-10700K」の場合は規格が「DDR4」で対応する最大の動作速度が「2933」であるため、メモリを選ぶ場合には「DDR4-2933」以下のメモリであれば良いと言うことになります。
パソコンのメモリを増設(追加)するためにDDR4対応のパソコンにDDR3のメモリを増設しようとしても互換性が無いので使用できません。
またメモリにはデスクトップ用とノートパソコン用があるため、購入時には注意が必要になります。
その他の技術仕様
まとめ
CPUの性能を確認するときには「世代」や「Core-i7」「Ryzen7」と言った種類などを確認するだけでは難しいです。
・詳細を確認したい場合や自作などを行う場合には他の仕様も必要に応じて確認する。
CPUの仕様が使用目的に会っている場合は、複数のCPUを比較することをおすすめします。
複数のCPUを比較するためには仕様にある「コア数」「スレッド数」などを比較することもできますが、簡単に確認することができる方法はベンチマークテストの数値の比較です。
ぜひあなたに会ったCPUを選んでください。